自然な温熱環境をつくる土壁の家
「土壁の魅力は何ですか?」という質問には、「調湿材」「蓄熱材」「断熱材」などの室内の温熱環境についての回答が多いのですが、「断熱性能」とは、外界の温度の影響を遮断できる、あるいは室内の温度を逃さない、つまり温熱環境について内と外とを「断つ」能力であり、実際には土壁の断熱性はあまり高いとは言えません。
それでも土壁の家で快適に暮らせるのはなぜか?
それは生活空間として快適さの体感には室温管理だけでなく、むしろ輻射や湿度などの影響の方が大きいのです。蓄熱要素や調湿性能が加わることで、家は大変快適なものになります。また、特に暖房や冷房について余計なコストを使うことなく、家自体が機能してくれるところが利点なのです。
「土壁の家は心地よい」という魅力は暮らす人の感覚と深い関係があるのです。現代の家づくり・家選びは、理論や理屈ありきの家づくりが主流ですが、土壁の家の魅力は「自然素材でつくる」という家本来の理に叶っているのです。
土壁の工程をご紹介します
◎竹小舞を掻く
縦方向と横方向に割竹を入れて縄で編み付ける。
◎荒壁土を塗る
小舞を掻き裏側にはみ出すまで強く押しこむように塗ります。
◎砂ずり
荒壁土の上から乾燥収縮の隙間を埋めながら丁寧に塗ります。
蚊帳布を塗り混ぜ、仕上げ面に亀裂や剥離がおきないようにします。
◎中塗土
土刺しとコテ板でペアになり作業効率をあげます。上塗りの下地となる平滑な面を作りながら、耐力壁としての強度も確保します。
一回の塗り厚は薄く工程は多い程良いです。
◎トンボ
木と壁の間が空かないように下地壁に釘で打ち付け、麻ひもをからめて塗り込みます。
とんぼが止まっているように見える事から名づけられました。
土壁は乾くとこのように美しい白色になります。